「スプリング・エフェメラル」という言葉をご存知でしょうか。春先から落葉樹林の林床に咲き始め得意なライフスタイルを持つ可憐な花たちのことです。 落葉樹林の林床に棲む妖精たちは,学問的な言葉ではなく叙情的に,しばしば“春の妖精”と呼ばれます。この春の妖精たちは早春植物とも呼ばれるように春先に咲くのが多いのですが,実際には種によっては標高差などの要因もあって初夏に咲くものもあります。ですが,そのイメージはあくまでも「つかの間の春を生き急ぐ小さくて可憐な花の妖精たち」だろうと思います。

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図鑑情報

◎キンポウゲ科 ユキワリイチゲ属

「雪割」は,雪解けと同時に姿を表して花を咲かせることを意味するそうです。必ずしも実情とは一致しませんが,そこはかとなくロマンティックな響きの名前だと思います。

森や林内および渓谷沿いなどに咲く多年草で,花径は約3~3.5cmあり菊の花に似た花を茎先に一輪咲かせます。花弁状の萼片は12~22枚くらいあり,花色は変化があって一様ではないです。県内では白色~薄い青紫色が多いようです。白猪の滝(愛媛県東温市)のものは中に稀ですが黄色味が濃い個体があります。

初冬の頃に葉を展開するためでしょうか,小葉は汚れたような淡褐色を帯びていて傷みがあるものも多く撮影には苦労します。今までの経験では,暖冬だった年は例年よりも綺麗な葉が多い印象があります。葉裏は濃い紫色を帯びているのも特徴です。

類種にキクザキイチゲ・アズマイチゲ・ヒメイチゲなどがあり,代表的なスプリング・エフェメラルです。

◎サイト情報:公的な自生地情報ページが見つからないので省略します。

撮影機材

山野草の可愛らしさや造形美を余すところなく引き出すためには「一眼レフカメラ+マクロレンズ」の組み合わせが理想です。背景を大きくぼかしてポートレート風に撮ることが多く,被写界深度が極端に浅いためにマニュアルフォーカスを多用するので一眼レフのファインダーでないと対応できないからです。

レンズは,開放値が明るくて1~2段ほど絞った時のボケ味を大きく左右する「円形絞り」を採用した製品を特にお薦めします。焦点域は35mm判換算で60~105mmがよいのではないでしょうか。

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