瓶ヶ森…霧氷を期待して 2005年10月30日

10月30日,もしかすると頂上付近では霧氷がつくかもしれないと期待して瓶ヶ森に出かけた。瓶ヶ森レポートは10月2日以来だが,この間にも,6日の石鎚山からの帰りに,そして9日と13日にも撮影に行っている。今月はこれで5回目だ。

霧氷は無理でも雲海は発生する条件だ。瓶ヶ森では本格的な霧氷を見たことがない家内も同行した。家内は寒いのが苦手なことも今まではその機会がなかった理由だ。しかし,今年は春から一緒に山歩きをしているので寒さよりも自然との出会いの方が優先するようになったらしい。「瓶ヶ森,どうする?」「行こうかな。」というやりとりだけで同行が決まった。

駐車場に着いたのは3時過ぎだった。10台ほどすでに車が止まっている。仮眠をとる。家内は助手席を倒して寝袋に入る。私は後部座席で毛布に包まる。私は山では熟睡はできない。小まめに時間をチェック。少しまとまって寝たような気がして時計を確認すると4時半だ。ここでまた寝ると寝過ごしそうだ。昔,そういうことがあって,美しい朝焼けを駐車場から見たことがある。(^_^;)

思い切って毛布から出る。車の外に出ると,さすがにこの季節だけあってブルッと震えそうになる。朝食用にお湯を沸さねば,とごそごそコッヘルやバーナーの準備をする。それでも家内は起きない。どこでも熟睡できるのが家内の特技だ。これだけは羨ましくて仕方ない。(^_^;)

お湯が沸きそうな頃に家内を起こす。カップ味噌汁と家内が出かける前に作ったオニギリで軽い朝食を済ます。他の車の人たちも次々に出発している。上下の駐車場に車も次々にやってきている。我々も身支度を整えて駐車場を後にする。5時15分だ。

上の駐車場にいたのでわからなかったが,もうすでに雲海になっていて石鎚山頂上のほんの一部だけが見えている。雲海の位置がずいぶん高い。どうやら雲海は真夜中からすでに出ていたらしい。雲海は瓶ヶ森にはかかっていない。雲海の規模やこの後の動きが分からないのでとりあえず男山のテラスに向かう。

やはり,霧氷はつかなかったようだ。ガスがうまく瓶ヶ森の山肌を這うように流れなかったのと気温が高すぎたためだろう。ところどころに霜柱が出来ている。暗い中でも踏んだときの音で分かる。5時35分,テラスに着く。私が男山の展望台と呼んでいるところだ。
  

(1)雲海に浮かぶ石鎚山

6時22分。

日の出は6時17分頃の予定。しかし,東の空,太陽が昇ってくる辺りにはそれを遮るような雲がある。

まったく朝陽が射してこない。

  

(2)筒上山・手箱山方面

雲海はこの辺りまで広がっている。

見る分には壮観だ。

 

(3)テラスより石鎚山方面

三脚にカメラをセットしてチャンス待ち。

前回の瓶ヶ森での撮影中に中判カメラの調子がおかしいことに気がつき,結局,入院してオーバーホールとなった。そのために,今回は35o判が主役だ。念のためにレンズは固定式だが6×9判も持っていった。

 

(4)手箱山と石鎚山

雲海はこのように広がったままだが,空は快晴だ。

水平線が茜色に薄く染まっている。

 

(5)カメラマンの木

今回は「カメラマンの木」の周りに9人のカメラマンが集まった。私が目撃した中では今年の最高人数だ。

笹の中に入って撮影している人もいる。登山口で無礼なオバチャンカメラマンに遭遇したが,黄色い防寒具を着たそのオバチャンも笹の中をあちこち走り回っていた。カメラマンの木の近くに「立ち入り禁止」の立て札があったような木もするが…。

どうも木の周りだけ笹の様子がおかしい。上から見ると小波が立ったように荒れて見える。単に表面的なものならよいのだが…。

「生育した笹は丈夫だから笹の中を歩いただけでは笹は傷まない。ただし,若い笹は生育途中だから踏み込んではならない。」昔,瓶ヶ森ヒュッテの幾島さんが教えてくれた。ただし,これは集団での行為を想定したものではない。私は知識がないのでよくは分からないが,局所的に大人数が踏みつけたらどうなるのだろう。それでも大丈夫なのだろうか。

 

(6)男山から女山へ

雲海は笹原の方にはやってこないので,このテラスからでは絵にならない。そのうえ,0℃の中を同じ場所でじっと待っている間に,家内の足の指がかじかんできたらしい。

作品創りの撮影は諦めて身体を温めるためと足腰の鍛錬に女山に向かう。

北側の雲海が少し薄くなってきた。まもなく消え去るのだろうか。

 

(7)女山より西黒森を望む

瓶ヶ森の東側の方が雲海に躍動感があった。

撮影のためだろうが西黒森の方に下りて行く人が何人もいた。

私はここで三脚を立てて撮影に臨んだが,撮影態勢になっているにも関わらず断りなく私の前に進む人もいれば,丁寧に一言断る人もいるし,私がレリーズを切り終わるまで静かに待ってくれた人もいる。まさにいろいろな人がいる。山の上でも社会の縮図が見られる。(^_^;)

 

(8)女山から望む石鎚山

北側の雲海がまた少し成長した。

ここまで日が射すようになると防寒の服装がさすがに暑くなる。しかし,寒がりの家内にはちょうどよいらしい。

 

(9)女山を下る

ミツバツツジやコメツツジの木がほとんど葉を落とし枝だけになっている。

 

(10)女山の展望台(テラス)

雲海が末期の様相を呈している。

 

(11)縦走路より石鎚山を望む

瓶ヶ森では定番の撮影ポイントだ。昔はこれらの白骨林を生かした写真が撮られたものだが,環境破壊をイメージさすので最近ではコンテストなどでは避けられる傾向にあると聞いた。

それに昔はもっと白骨の枝振りがよく絵になったが,だんだんと朽ちてきて幹だけになっている木が多い。

ところで,この辺りにもたくさんカメラマンがいた。女山で見かけた人たちもそうだが,その多くが私がオーバーホールに出した中判カメラ(約20年前の初代)の最新機種(3世代目)を使っている。この占有率には(@_@)だ。なぜそんなに人気があるのだろうかとカメラ店で「今は買わないけど」と断ってからカタログをもらってきた。(^_^;)

理由が分かった。オート撮影の機能充実とズームレンズの充実振りだ。これでは他の中判カメラメーカーはフジ以外は生き残れないだろう。新しく追加された機能の中に私が欲しかったものがいくつかある。私はズームレンズもAFも必要ないので,今のレンズがそのまま使えるようだ。ボディだけを購入すればよいのだと知ってしまった。(^_^;)

久しぶりに「物欲」がふつふつと湧き出てくるのを感じる。「弘法は筆を選ばず」を唱え,こういう煩悩を超越したいのだが…。中古を探そうか…。

 

(12)消え去る雲海

この後,雲海がどうなったのか私は知らない。文字通り「雲散霧消」したかも知れないが,この時期の雲海は一日中残ることも珍しくはない。

 

午前9時,駐車場にもどってきた。思ったほど車の数は多くはない,とは言っても上下の駐車場で40〜50台ほどだろうか。

実は,紅葉のシーズン,それも日曜日ということもあり,昼間の林道走行はストレスになるし危険なので,夕焼けを見てから帰宅することにしていた。しかし,撮影が思ったよりも早く終わり,駐車場に次から次に車がやってきているというほどの状況でもなかったので,「帰ろうか」ということになった。この判断が間違いの元だった。(-_-;)

寒風山の駐車場まで面白がって対向車の数を数えた。67台。この数はまだ少ない方だ。時間が早かったからだろう。しかし,この後がひどかった。高知県側の194号線まで下りる間,対向車数を数えている余裕などはなかった。次々に各種車がやってくる。「上り優先」なので,何度もスペースを見つけては道を譲る。一度道を譲ると5〜6台通過して行くことも珍しくはない。大半は挨拶がない。まあ,それはよしとしよう。(-_-;)

問題だったのは,ヘアピンカーブだ。何度急ブレーキをかけたことか。2度,心臓が止まる思いをした。実際,しばらくの間心臓が痛かった。内側を走っている我々の車の正面に対向車が現れたのだ。おまけにカーブに「突っ込んでくる」という走り方だ。山道に慣れていない人はよくこういう運転をする。ちょっと頭を働かせばそれがいかに危険かがわかるはずなのに…。西条側に直接下りる道が早く直って欲しいものだ。

この2度の正面衝突回避は,私が先が見えないところでは必ず「キープレフト」を実行し,さらに用心して普段よりスピードを抑えて運転していたことと2年前に購入した私の車のブレーキ性能のよさのためであって,対向車の運転手の技術や反射神経のおかげではないことは明言しておきたい。ついでながら,「カーブミラーを見ようよ」「CDプレーヤーやラジオは止めてクラクションを聞こうよ」と言いたい。

それにしても我が愛車のブレーキ性能は前者よりも格段に優っている。このことが実証できたのが不幸中の幸いか。(-_-;)
  

撮影紀行のトップページに戻る