石鎚自然写真館『撮影紀行』 ― 2009年 ―

『四国カルスト』撮影山行レポート 2009年 4月 30日  1/2

萌黄を求めて天狗の森を歩く

この数年,毎年楽しみにしているのは四国カルストの散策です。それも天狗の森を時間をかけて周遊することです。萌黄と若葉に心底癒されます。この時季ならではの明るくて美しい雑木林の風景を堪能できますし,足下には,山野草をそこかしこと咲き誇り良き被写体となってくれます。

今日は幸い天気は快晴です。散策日和,撮影日和です。さあ,出発です。そうそう,今日は新しい登山靴を初めて履きます。いわば靴の慣らし運転というところです。


◎今回の撮影機材について:

レポート用画像は主にコンパクトデジカメのPanasonic<Lumix LX3>を使います。

これは開放値がF2.0と明るいのでボケもそれなりに期待でき,しかも35mm換算で24-60mmと,ズーム比がそれほど高くないのでレンズ性能を犠牲にしていませし,広角側に強いのも有り難いですね。メモ用カメラとは言え,どうしても描写性能が気になりますので,LX3は良い選択だったと思っています。

作品作りはニコンのデジタル一眼<D300>を使用します。

これに,ニコン純正の接写レンズ<AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED>とタムロンのズームレンズ<SP AF17-50mm F/2.8>の組み合わせです。前者は円形絞りなので少々絞っても美しいボケが得られるのでお気に入りです。

ズームレンズはニコン純正のも持っていますが,今日のような逆光での撮影を多用する状況ではゴースト&フレアが派手に発生して使い物になりません。この焦点域では一番逆光耐性があると言われている本レンズを愛用しています。望遠側が物足りないのが唯一の欠点です。


レポート画像01 (01)天狗荘と無料駐車場

午前8時30分。

自宅を5時10分に出発。松山自動車道を内子五十崎ICで下り,197号をひた走り途中の道の駅で休憩を兼ねて朝食のおにぎりを食べます。

197号を途中で左に折れ,しばらく走った後また左折して幹線林道を走るとこの天狗荘に着きます。

平日とは言え,それなりの人出を覚悟して来たのですが,車が数台とバイクが10台ほどで少々拍子抜けです。まだ朝が早いからかも知れません。

 


レポート画像02(02)天狗の森頂上コースの入り口

バンガローやキャンプサイトの間を抜けて天狗の森頂上を目指します。珍しくテントが一張りあります。

写真では見えませんが,右手前にセイヨウタンポポが咲き誇っています。「きれい」という人もいますが…。

 


レポート画像03(03)天狗の森の尾根筋

午前8時50分。

この標識のあるところが尾根で,瀬戸見の森という名前がついているようです。

天狗の森頂上へは右へ折れるのですが,左に10m行けば,下の画像(04)のように,天狗荘方面が望めます。

 


レポート画像04(04)天狗荘方面

無料駐車場も見えますが,まだ車はほとんどありません。

 


レポート画像05(05)標識

元の標識のところまで戻り,これから天狗の森頂上を目指します。

途中,諸々の花を探すために足下に気をつけながら歩きます。

 


レポート画像06(06)イチリンソウ

まだ咲き始めです。これ以外はまだ蕾です。尾根筋のイチリンソウは例年通りの開花時期が予想されます。

 


レポート画像07(07)ヤマシャクヤク

日当たりの良いところは蕾もたくさんありますが,高さが20cmもない個体にも蕾がついているのに驚きました。

 


レポート画像08(08)天狗の森頂上(1485m)

午前9時10分。

頂上です。天気はご覧の通りで風もあまりなく気持ち良く歩けます。

ここまでは概ね尾根筋を歩いてきましたが,この後は南面を少しずつ鞍部まで下っていきます。

 


レポート画像09(09)タチツボスミレの仲間

スミレの同定は私の能力を超えているので,詳細は不明です。m(__)m

これはコンパクトデジカメを使って“ノーファインダー(=ノーモニター)”で撮っています。被写体を真ん中に持ってこないとピントが抜けますから,構図などは勘の世界です。

 


レポート画像10(10)萌える若葉

今日はこれが一番の目当てでやって来ました。毎年,数年前に天狗の森の萌黄に出会ってからこの時期にはここを歩くことにしています。

それくらい萌黄と新緑が美しいです。

 


レポート画像11 (11)分岐

午前9時40分。

鞍部まで下りてくるとこのベンチがあり,のどを潤すために小休止します。

天狗の森からは左奥から下りてきます。右奥に進むと黒滝山方面です。ここを手前の方に下ると横道と合流します。

我々は休憩したら黒滝山まで行き,そこから横道に下る予定です。

 


レポート画像12(12)ツクバネソウ

これは失敗例です。

 


レポート画像13(13)ツクバネソウ

イメージに近いのはこちらですが,背景が悪かったようです。

これもノーモニターで撮っています。コンパクトデジカメの広角側の接写機能を利用して思い切り被写体に近づき背景を広く写し込むと面白い写真が撮れます。

こういう写真を撮り出すとモニターが自由に動かせるタイプのものが欲しくなります。

こういう写真を一眼レフと超広角レンズで撮ろうとすると機材が大変です。大伸ばしの作品にするのでなければ広角側に強いコンパクトデジカメで十分でしょうね。

 


レポート画像14(14)新緑

目に青葉 山ホトトギス 初鰹

 


レポート画像15(15)ハルリンドウ

これもノーモニターでの撮影例ですが,なかなか花と背景の両方が良いところがありません。

 


レポート画像16(16)アケボノツツジ

いつもGWの始め頃にはアケボノツツジがたくさん咲いているのですが,今年は数日前の寒波で咲いていた花は全部萎れてしまいました。何しろ,石鎚では雪が降り高嶺には霧氷が着きましたから,心配していた通りになりました。

個体によっては蕾はまだたくさんありますから,むしろGW後半に楽しめるかも知れません。

 


レポート画像17(17)新緑

こういう小風景があちこちにあり,目移りしながらの散策です。

 


レポート画像18(18)黒滝山頂上

午前10時25分。

立派な道標が設置されています。去年まではどこが頂上か分からないまま素通りして歩いている人が多かったので,これで”頂上”と認識されることでしょう。(^.^)

いつもはここでコーヒーを沸かし食事タイムを取るのですが,今日は駐車場にもどってからコーヒータイムの予定です。

ゆっくり目の休憩をしたら出発です。

 


レポート画像19(19)萌黄と新緑

首が痛くなるほど立ち止まっては上を見ていました。それほどの感動的な美しさです。

 


レポート画像20(20)横道との合流点

午前10時50分。

我々はこれ以上先までは行ったことがありません。いつもここから横道を駐車場まで山野草を撮影しながら帰ります。

 


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